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ビジネスモデルの抜本的な転換が急務の建設業、建設DXに欠かせないデジタル技術とは?

DX 建設DX

ビジネスモデルの抜本的な転換が急務の建設業、建設DXに欠かせないデジタル技術とは?

 

多くの関心を集めている「建設DX」とは?

 

現在、多くの企業が志向する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」

オフィスワーク中心の企業にとどまらず、自組織の業務の効率化や利益の向上につなげるため、業種・業界を問わず、DXへの取り組みが進められています。

 

建設業界もその例外ではありません。

同業界の現状は、従来型の事業モデルからの転換が必要不可欠な状態にあると考えられます。

その起爆剤として期待されているのが、ICT技術を活用した「業務のデジタル化」です。

 

建設業界が直面している課題は、デジタル化によってどのように解決できるのでしょうか。

この記事では、建設業界が抱える問題点や新型コロナウイルス感染症の影響などを踏まえ、「建設DX」を支える技術要素やシステム、具体的な活用メリットなどを紹介していきます。

 

建設業界が抱える、ビジネス上のさまざまな課題

 

ここ数年、オリンピック関連事業や都市の再開発事業、社会インフラの再構築などを受け、国内の建設業界の需要は高まっていました。

しかし、少子高齢化が進む中で、同業界における深刻な人手不足や技能継承の停滞などの課題が浮き彫りとなっています。

 

総務省統計局が2021年5月に公表した「労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)4月分」によると、建設業の就業者数は498万人となっていて、1997年の685万人をピークとして減少傾向が続いています。

 

建設業界の特徴としては「肉体的・精神的にハードな労働環境」が挙げられます。

天候・季節を問わずに長時間の作業が続くこともあり、重い資材の運搬・機器の取り扱いといった肉体的な負担がかかる作業も伴います。

 

また、危険を伴う現場作業も含まれるため、安全面への考慮など精神的な負荷もかかります。

人材確保のために国土交通省主導で「働き方改革」が進められていますが、根本的な解決に至っているとは言えないのが現状です。

 

さらに、全産業の中でも高齢化が著しく進んでいると言われており、「熟練技術者の減少」も深刻化しています。建設現場業務の新しい担い手が確保できない中、高齢化に伴い次世代への技能継承も思うようには進んでいません。

ノウハウを十分に伝えられないまま現役を退くベテラン技術者が、今後も増えることが懸念されています。

 

「建設DX」による課題解決策を紹介

 

こうした課題を解決するためには、人員を増やさずに事業の維持や成長を実現することが求められます。

そのため、DXへの取り組み、つまりICT活用によるビジネスモデルの抜本的な改革の推進が急務の課題となっています。

ここからは、建設業界の課題をどうDXで解決しているのかを紹介していきます。

 

 

BIM/CIM、CRM、SFAシステム導入で「業務効率」を向上

 

業務効率の向上を実現するDXの例としては「BIM/CIM(Building Information Modeling/Construction Information Modeling Management)」の導入が挙げられます。

計画・調査・設計段階から3次元モデルを導入することで、その後の施工、維持管理の各段階においても3次元モデルを連携・発展させて事業全体にわたる関係者間の情報共有を実現できます。

また、建設生産・管理システムの効率化・高度化を図ることも可能です。

 

さらに「CRM(顧客管理)」や「SFA(営業支援システム)」などの導入も挙げられます。

顧客管理を軸として、案件・商談、プロセス、売上などを管理する機能を活用することで、業務の効率化や人手不足の解消への効果も期待されています。

 

 

「技能・ノウハウ」共有化・継承も容易に実現

 

従来は熟練技術者の頭の中にあった「現場作業の進め方や技能・ノウハウ」の継承問題については、先述したBIM/CIMによる関係者間の容易な情報共有や蓄積などが可能になります。

熟練技術者が「どの情報をどのように判断したか」を把握し、直接見聞きしていない場合でも、モデル化することで後から参照可能になり、より広範囲の技術者への共有が容易になりました。

 

また、熟練技術者の技能をAIに学習させて、経験の浅い技術者でも現場で同様の対応をすることも可能になっています。

たとえば、熟練技術者が自身の経験から得た勘やノウハウなど膨大な量のデータを蓄積して分析していきます。

複雑な機器や設備の故障が発生した際、その原因特定や対応などの現場作業をAIが支援する取り組みも進められています。

 

 

現場作業の「省人化」にも貢献

 

テクノロジーを活用すれば、現場作業を少人数で進められる「省人化」にも貢献できます。

省人化によって作業の効率化を図ったり、危険な作業や3密の状況を回避することが可能です。

 

たとえば、5Gによる高速通信やモバイル端末搭載の業務アプリなどの活用が考えられます。

また、クラウドサービスやコミュニケーションツールなどで円滑なコミュニケーションも可能です。

施工状況の確認作業、監督といった、これまでは現場でしかできなかった業務が事務所や自宅などの遠隔地からも実施できます。

 

 

「労働環境の改善」にも寄与

 

業務効率を高めることで、作業員にかかる負担を減らしたり、安全面にも配慮した労働環境の改善も実現できます。

生産性の向上だけではなく、離職率の低下にも寄与できる可能性があります。

 

たとえば、「現場の設備環境の状況を可視化する」ことも重要です。

データも駆使して作業状況の見える化を実施することで、作業導線や作業場のレイアウトなど既存の環境における問題点を見出すことも可能です。

そうした環境を改善することは、業務効率を高めたり、離職率の低下にもつながるでしょう。

 

 

国内大手建設会社3社が進めるDXへの取り組み

 

社会インフラや既存建物の老朽化が進んでいる中、既存建物の改装や改修などの維持管理の効率化も建設業界における急務の課題の1つです。

同業界では、新しいビジネスモデルとして、AIやIoTを活用した施設運用・保守業務をサービスとして提供する「オペレーション&メンテナンス(O&M)」に対する関心も高まっています。

 

同ビジネスを支えるのは、デジタル技術を活用して多種多様な情報を収集し、設備の自動制御を可能にするクラウドサービス基盤です。

データの蓄積・分析を実施して、より付加価値のあるサービスの提供を実現することが可能です。

 

ここからは、国内建設業3社が推進するO&Mビジネスの内容を紹介していきます。

 

 

鹿島建設

 

日本でも有数の大手建設企業である鹿島建設。

同社は鹿島建物総合管理と共同で、建物管理プラットフォーム「鹿島スマート BM(Kajima Smart Building Management)」を開発し、2019年12月から同サービスを提供しています。

 

鹿島スマート BMでは、空調や照明などの稼働状況、温度や照度などの室内環境、エネルギー消費量など建物に関する多様なデータを、IoTを活用して日本マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」に蓄積します。

同プラットフォーム上でAIを用いて分析することで、設備の最適調整や省エネルギー支援による運用コストの削減、機器の異常や故障の早期把握などを実現します。

 

Azure上に構築されたAIアプリケーションとしては、エネルギーの無駄を検知するシステム「EF Detector」があります。

このアプリでは、鹿島と鹿島建物が保有する知見・技術を活用されています。また、Azure上のデータ基盤構築やAIエンジンの実装では、日本マイクロソフトが全面的な技術支援を行っています。

 

 

大成建設

 

国内大手の大成建設もまた、O&Mビジネス事業で日本マイクロソフトと協業しています。

大成建設では、Microsoft AzureとWindows 10 IoTベースのエッジデバイスを採用した用途・機能別のソリューションを提供しています。

 

たとえば、「建物健全性把握」ソリューションでは、建物や利用者のさまざまなデータをIoTセンサーなどで収集後、各種データを可視化し、AIによる分析結果を元に建物設備の自動制御などが可能です。

従来は専門の調査員が現地に赴き実施した調査をIoTが代行することで、地震発生直後に建物の安全性を速やかに可視化できるため、管理者は使用の可否を素早く判断することを支援します。

 

また、建物運営管理費を最小化する「施設統合運営管理」ソリューションや、従業員の温や心拍数などの情報を収集し、可視化する「作業状況見える化」ソリューションなども展開しています。

 

 

大林組

 

総合建設会社としてビジネスを展開する大林組は、2021年に創業130 年を迎える同社はブランドビジョン「MAKE BEYOND つくるを拓く」をスローガンに掲げ、建設の枠を超え事業領域の深化・拡大を進めています。

 

その一環として、ブロックチェーン活用に着手。

マイクロソフトが提供するブロックチェーンサービス「Azure Blockchain Service」をベースに、社内のコンクリート受入検査システムや協力会社との取引業務の省力化に着手しました。

その結果、運用開始から約2カ月で17の現場に導入され、約3万件の検査データとの連携が実現しています。

 

パートナー企業ともに建設業のDX実現に取り組んでいるマイクロソフト。

人手不足などの問題もある建設業界では、DX推進こそ生き残るための重要戦略となるのではないでしょうか。

DX戦略を検討している建設業者の皆さんは、ぜひ一度、同社のソリューションを検討してみてはいかがでしょうか。

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