近年では、DXの取り組みとしてデジタルマーケティングに注目が集まっています。購買行動の多くがWeb空間で行われるようになり、デジタルマーケティングは実店舗におけるマーケティングと同等に重要な施策となりました。
この記事では、Microsoft社の自動化ツールであるPower Automateを用いてSNS上の投稿を分析するデジタルマーケティングについて解説します。
SNSマーケティングの重要性
SNSマーケティングとは
デジタルマーケティングのうち、特にTwitterやFacebook、InstagramなどのSNSを活用する手法をSNSマーケティングと呼びます。近年は、得に若年層を中心に、SNSで情報収集を行ったうえで商品やサービスを購入するケースが増えています。それに伴い、SNS上の評判やいわゆる「バズる」と表現されるような盛り上がりがマーケティングの重要な要素となっています。
SNSマーケティングにおける自社製品・サービスの評判確認
SNSマーケティングの一つの要素に、SNS上で自社製品やサービスなどの評判を確認し、自社製品・サービスの改善に利用する取り組みがあります。このような取り組みを、ソーシャルリスニングといいます。
また、類似する取り組みとして、SNSを監視することでいわゆる「炎上」と呼ばれるようなトラブルが発生していないか確認することも有効です。SNS上での炎上を早期に発見し、適切な対応を取ることが現代のレピュテーションリスク対応として重要となっています。
SNS投稿の監視
SNSマーケティングの一環として、SNS投稿内容を監視することで上述したソーシャルリスニングや炎上対策を実現することができます。
以下では、SNS投稿の監視による効果と、実務上の課題について解説します。
SNS投稿の監視による効果
SNS投稿を監視することの効果は、良くも悪くもストレートな意見を得られるという点にあります。SNS利用者がSNSに投稿する際のハードルは比較的低いため、SNSでは思ったことがそのまま投稿されやすいという特徴があります。よって、ソーシャルリスニングによる意見収集は紙媒体等を利用したアンケートよりも率直でストレートな意見を得やすくなります。
また、SNSでは人々の怒りや不満なども可視化されます。最近では、テレビ朝日の「報道ステーション」のCMが女性蔑視であるとして大問題となり、CMを取り下げる事態となりました。実店舗でのユーザ対応トラブル、商品トラブルなどがSNS上での投稿を発端に拡散され、社会的に大きな問題となるケースもあります。SNS投稿を監視することで、このような炎上状態の早期発見を行うことができます。
SNS投稿の監視における課題
SNS投稿の監視におけるもっとも大きな課題は、コスト面でしょう。SNSの監視を外部委託する場合、一定のコストがかかります。効果が見通せないSNSマーケティングや、炎上対策というリスクヘッジのためだけにコストをかけることに躊躇するケースもあるのではないでしょうか。
また、社内担当者による人手での監視も考えられますが、どうしても対応が属人的なものとなり、漏れや見落としが発生します。また、日々手動で監視を行うことはそれなりの業務負荷となります。
Power Automateを用いたSNS投稿の自動監視
SNS投稿の監視によるソーシャルリスニングや炎上対策は、比較的自動化しやすい業務といえます。業務自動化により、上述したコストや業務負荷の問題を解決できます。
以下では、Microsoft社が提供する自動化ツールであるPower Automateを用いたSNS投稿の自動監視方法について紹介します。
Power Automateの詳細については、別途解説記事をご覧ください。
<「Power Automateとは?DXに役立つ自動化ツールを解説」へのリンク>
指定キーワードが含まれる場合にメールで自動通知
Power Automateを用いることで、製品やサービスとともに特に注意が必要なキーワードが含まれる投稿があった場合に、メール等で自動通知を行うことができます。この記事では、Twitterを対象として投稿の自動収集を行います
まずはブラウザからPower Automateにアクセスし、Twitterのテンプレートを検索します。
次に、「特定のキーワードに関する新しいツイートがあったらメールを送信する」のテンプレートを選択します。
Twitter等への接続を行ったうえで、以下のように対象とするキーワードとメールの宛先を登録します。
このフローを設定することで、対象キーワードが含まれる投稿があったらすぐに指定されたメールアドレスに対象の投稿が送付されるようになります。
指定キーワードが含まれる投稿を自動収集
また、Power Automateを用いると、商品など特定キーワードが含まれる投稿を自動で収集し、Excel等へ保管することができます。
同様にTwitterのテンプレートの中から、「Excel Online (OneDrive) スプレッドシートにツイートを保存する」を選択します。
Twitter等への接続を行ったら、先ほどと同様に収集対象とするキーワードを指定の上、出力先のExcelシートを選択することで、自動でキーワードに合致するExcelを収集することができます。
AIを用いた商品・サービスへの感情分析
より高度な分析として、AIを用いて商品やサービスがどのように評価されているのか、ユーザの感情分析を行うことができます。
これまでと同様に、Twitterのテンプレートより「ツイートの感情分析を実行して結果を Power BI データセットにプッシュする」を選択します。
本テンプレートを利用するためには、Microsoft Cognitive ServicesのText Analytics、およびMicrosoft Power BIのアカウントが必要となります。Text AnalyticsはMicrosoftが提供している分析APIであり、試用であれば無料で利用できます。また、Power BIはMicrosoftが提供する可視化ツールです。このテンプレートを用いることで、製品やサービスに対してユーザがどのような感情を持っているかを分析できます。
まとめ
この記事では、デジタルマーケティングの中でも特にSNSマーケティングにスポットを当てて、Power Automateを活用したSNS監視や商品・サービスへの感情分析の方法について紹介しました。実は、Power Automateを用いればSNSの分析が容易に行えます。これまでデジタルマーケティングやSNSマーケティングに取り組んだことがない方も、まず初めの一歩としてPower Automateの活用を検討してみてはいかがでしょうか。