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騙されないために!自社でできる取引先の調査テクニック

 

事業を拡大するためには、新規の企業との取引を積極的に行っていく必要がありますが、 その際に問題となるのが「相手の信用力」です。

 

創業したばかりの会社などは当然ですが、それ以外でも取込詐欺や計画倒産などを狙っているケースもあるため、取引の開始にあたっては十分な注意が必要です。

 

ここでは信用調査会社などを使わずに、自分でできる取引先の調査方法や、調査を始めるにあたってした方がよい準備についてご説明します。

 

この記事で書かれたことをしていただければ、取引上のリスクを減らすことができるだけでなく、あぶない取引を回避できるようになります。

 

 

 

なぜ、事前に取引先の調査が必要なのか?

 

取引先調査の必要性

 

新規の会社と取引をする場合に、なぜ事前に調査の必要があるのかといえば、それは次の理由によります。

 

代金の回収前に倒産してしまうリスクがある

 

中小企業には資金繰りがうまく行かず、自転車操業というところが少なくありません。
特に創業したばかりの会社は、 財務体質が脆弱で、 営業もうまくできていないところが多く見受けられます。

 

そのため、このような会社とはじめから大きな取引をしてしまうと、 代金の回収ができなくなってしまう可能性が高くなります。

 

 

取り込み詐欺や計画倒産を狙っている可能性がある

 

悪質な企業の中には、はじめから取込詐欺や計画倒産をもくろんで、取引を持ちかけてくるところもあります。
このような企業は、はじめは少額の取引やこちらに都合のよい条件を持ち掛けてくることが多いので、注意が必要です。

もし、このような悪質な企業に引っかかってしまうと、大きな損失を被るだけでなく、自社の資金繰りも危なくなってしまいます。

 

 

トラブルがあった時に回収が困難となる

 

売掛けなどの信用売買をしたときには、相手とのトラブルが発生したり、相手の財務状況が急激に悪化したりすると、代金の回収が非常に困難となります。

 

もちろん裁判をすれば、その正当性を証明することはできますが、仮に勝訴判決をもらっても代金の回収ができるとは限りません。

というより通常は、そのような企業から全額の代金を回収をするのは、ほぼ不可能でしょう。

 

はじめて取引をする企業にはこのようなリスクがあるため、「その企業の信用力を知ること」と「事前にリスクを想定した対策をしておくこと」の2点が最も重要となります。

 

 

 

自分で調査を行う場合の6つの調査項目

 

調査項目

 

はじめて取引をする場合や、つきあいの浅い会社と多額の取引をする場合には、あらかじめ相手の信用状況を調査してから取引を始めるべきです。

 

信用調査の方法には、専門会社に依頼するやり方もありますが、コストがかかる他、実態がわかりにくいという面があります。

また、自社でできる範囲の中で調査をしておくことは、安全な取引のための最低限の対策といえます。

 

具体的には、次のようなことをするだけでも、かなりの情報を集めることができるので、ぜひ実践することをおすすめします。

 

 

会社の登記簿謄本または開業届を確認する

 

取引の相手が法人の場合、はじめに行うべきなのが「会社登記簿謄本の確認」です。

どんな種類の法人であっても、必ず会社の登記簿が作られますので、もし登記がされていない場合には詐欺の可能性が考えられます。

 

なお、相手が個人事業主の場合には登記簿謄本はありませんが、その場合には税務署へ開業届の提出をしているはずですので、これを提出してもらい内容を確認します。

 

中には、「忙しくて開業届を提出していない」という方もいますが、その場合は正式な形での事業を行っていないことになりますので、取引を見合せた方がよいでしょう。

 

 

相手の会社のホームページを閲覧してみる

 

最近では、ほとんどの会社でホームページを持っているのが当たり前となっています。

 

中には、「できたばかりの会社なので、まだ、ホームページを作っていない」や「ホームページでの営業をしていない」などといってくるケースもありますが、ある程度社歴があるにもかかわらずホームページがない場合には、疑ってみた方がよいでしょう。

 

もし、ホームページがある場合は、 そこに記載されている会社概要と登記簿謄本の内容(特に本店所在地や役員)に相違がないかを確認します。

なお、仮にホームページがある場合でも、それが無料ブログや無料サービスで作られているものの場合は、信頼性に?がつきます。

また、ドメインが独自のドメイン(有料ドメイン)でなく、サーバー会社から提供されているもの(無料ドメイン)の場合にも、信頼性が落ちると考えた方がよいでしょう。

 

 

会社の代表番号や個人の携帯番号に電話をかけてみる

 

相手の名刺を取得した場合は、会社の代表番号や代表者の携帯番号に電話をしてみて、本当にその番号が存在するかを確認してください。

 

「何度かけてもでない」、「通話ができない」「会社の人間が出ずに、秘書サービスに転送される」などの場合は、その存在を疑ってかかるべきです。

 

なお、自分の携帯から連絡をすると履歴が残るから嫌だという方については、間違い電話のふりをして公衆電話や関係ない人の携帯などから確認してみるとよいでしょう。

 

 

 

相手の事務所が存在するかを確認する

 

会社の登記簿謄本に記載されている本店所在地に、本当に事務所が存在するのかを確認します。

 

事務所所在地が遠方の場合には難しいケースもありますが、極力、この調査はすることをお勧めします。

もし、事務所の実態がない場合には、即座に取引を中止するべきです。

 

なお、最近では実態がない会社ついても、本店登記のできるレンタルオフィスなどもあるため、本店がそのような場所になっているときは、本当に実態がある会社なのかをよく確認する必要があります。

 

 

相手が許認可業者の場合は、監督官庁のホームページで確認する

 

許認可を得て営業している会社の場合には、その許認可を督官する官庁のホームページに許認可業者の名簿が掲載されていることがほとんどです。

 

そのため、この名簿を見れば、その相手が「本当に許認可業者かどうか?」ということがわかります。

 

 

会社名や代表者名を「●●社 評判」などのキーワードで検索してみる。

 

会社の正式名称がわかれば、それをネットで検索することにより、簡単にその会社の評判を知ることができます。

もし、過去にトラブルや事件を起こしているなどの書き込みがある場合には、取引をやめた方がよいでしょう。

 

なお、検索をしても何の情報も出てこない場合もありますが、その場合には「あまりに取引の規模が小さい会社」または「営業活動をしていない会社」、「最近作られたばかりの会社」などの可能性が考えられますので、状況に応じて取引をすべきかどうかを判断してください。

 

また、その会社の取引先がわかる場合には、こちらについても検索すると、どんな相手と取引をしているのかがわかるので、より多くの情報を手に入れることができます。

 

 

以上のように、企業の信用力を自分で調べるにはいくつかの方法がありますが、これらのどれか一つに該当するからといって、すぐに危ない会社とは限りません。

しかし、複数の項目に該当するような場合には、その分取引のリスクが高まりますので、そのことを理解した上で総合的に判断することをお勧めします。

 

 

取引開始前のチェックポイント

 

取引開始のチェックポイント

 

はじめての会社と取引をする場合には、取引の際にあらかじめつぎのことをしておくと、素性の確認だけでなく、代金回収のときにも役立ちます。

 

 

代表者の身分証明書をコピーする

 

取り込み詐欺や計画倒産を考えている人間は、会社の情報を見せることはあっても、個人の情報を見せることを極端に嫌がります。なぜなら、このような人間にとっては、それが身元の特定につながるからです。

 

なので、取引にあたっては、シッカリと代表者の免許証等のコピーを取ってください。
もし、これを嫌がる場合には、あやしいと考えた方がよいでしょう。

 

 

有名人と撮った写真などは信用しない 

 

よく有名人や政治家と撮った写真を見せて相手を信用させようとする方がいますが、そのほとんどは単なるパーティーや懇親会の席でお願いして撮った写真です。

 

なので、このような写真を見せられた場合でも、うかつに「●●との付き合いがある人」などと考えず、 そのような写真を見せる行為自体を疑ってかかってください。

 

 

金融機関の口座情報を確認しておく

 

事前の準備で以外と重要なのが、「相手の金融機関の口座情報の確認」です。

 

なぜこれが重要かといえば、万が一、相手の預金口座を差し押さえるときに金融機関名や口座番号などが必要となるからです。

金融機関では、債権者からの問い合わせであってもこれらを教えてはくれません。

 

これらの情報は、いざというときには相手から聞き出すことができないため、あらかじめ入手しておく必要があります。

 

 

3回目までは、半額を現金でもらう

 

取引をする際には、はじめてのときだけでなく、できれば3回目くらいまでは半額を現金でもらうようにしておくと安全です。

 

なぜなら取り込み詐欺では、相手に信用させるため2回目くらいまでは現金で支払うことが多いからです。

そして3回目以降の取引で大きな取引を売掛けで持ちかけ、そのまま逃げる、倒産する というのが常套手段です。

 

そのため3回目ぐらいまでは半金を現金でもらうなどとしておくと、万が一のときも大きな損害となりにくくなります。

 

 

決算書を提示してもらう

 

詐欺会社などではどんなに上手く繕っていても、決算書までは作っていないのが普通です。

また、仮にこれを作成していたとしても、たいていは実質的な取引がないことがその内容からわかります。

 

決算書を提示してもらう場合には、貸借対照表と損益計算書だけでなく、 できれば勘定科目明細を含めたすべての資料を提示してもらうようにしてください。

なぜなら、この部分には使用している銀行口座や取引先、借入先などの調査をする上で重要な情報が含まれているからです。

 

なお、決算書が提示された場合には、「資本金の額」、「株主構成」、「貸借対照表と損益計算書の内容」、「取引先金融機関」、「取引先企業」といった情報を特に確認しますが、情報の読み取りに自信がない場合には、顧問税理士などに協力してもらうのがよいでしょう。

 

 

信用調査会社(帝国データバンクなど)への依頼の仕方

 

調査会社への依頼方法

 

取引先企業の正確な財務内容などを調べるためには、信用調査会社に「信用調査」を依頼する必要があります。

代表的な調査会社としては、帝国データバンクがありますが、同社では企業のみを対象としており、個人についての調査は行っていません。

 

信用調査は、新規取引先候補に対しては「取引可否判断のため」、既存取引先に対しては「継続的に取引を行うため」の情報を入手する手段として有効です。

ただし、調査は任意で行われるもののため、対象会社の同意が得られときなどは、十分な調査ができない場合もあります。

 

費用については、基本手数料2~3万円から(1社について)というところが多いようですが、出張費が別途にかかる場合や、会員になることにより割安なサービスを利用できるケースもあるので、事前にお問い合わせください。

 

なお、実際に調査を依頼する場合には、次のような手続きによります。

※ 帝国データバンクの場合

  • 調査会社に電話またはFAX、メールで調査依頼をする。
  • 調査会社より「調査問合票」が送られてくるので、必要事項を記入して調査会社へ提出。

 

調査会社によって調査の項目や料金、日数などが異なるため、あらかじめいくつかの会社に問い合せの上、最終的に判断することをお勧めします。

 

 

 

まとめ

 

新規の企業や、取引の浅い企業と大きな取引をする場合には、あらかじめ相手の意図や素性、財務内容などに関する情報を掴んでおく必要があります。

また、それとともに、トラブルや相手方の支払い不能などがあった場合の対応についても考えておいた方がよいでしょう。

 

最も効果的な対策は「相手の信用力を見抜く」ことと「危険な相手とは取引しない」ということです。

この対策については、「事前に社内でルールを作っておく」、「そのルールを全員で共有する」などにより徹底できるのでぜひ、ご検討ください。

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