DXに着手していくのに、どこから着手して良いのか?どのように取り組めば良いのか?
方向性すら見えない経営者や担当者の方、多いのではないでしょうか?
ここではDX推進のアプローチを記載していきたいと思います。
まずは、DXの本質について、理解を深めた上で、アプローチを記載していきます。
DXの本質
企業でも個人でも、商売の基本はお客様に商品なり、サービスなりを購入頂くことです。
その商品やサービスが良く、満足して貰えれば、リピートして再購入してもらったり、知り合いやSNSなどで良い口コミをしてもらえ、新しいお客様を獲得できます。
そもそもDXは何のために取り組まなければならないのでしょうか?
それはお客様に満足して頂き、売上が持続的に上がる仕組みを作りたいからだと思います。
故に本質的には、DXとは、企業における「マーケティングを完成に導く最も有効な手段」にならなければならないと私は考えています。
ここでのマーケティングとは、顧客に付加価値のあるサービスや商品を提供するため、一連のプロセスを最大限に効率化・高度化することと定義します。
つまり、顧客の問題を発見し、解決することに効率的に全力で取り組める企業風土、経営戦略及び目標設定、組織、人、マネジメント、業務プロセスそしてそれらを支える情報システムを迅速に作り上げていくことが真のデジタル・トランスフォーメーション(DX)であると考えます。
ちなみに、話は前後しますが、昔ながらの商売のやり方で、売上が持続的に上がっていけば、DXだのというよくわからない取り組みを行う必要はありません。(苦笑)
しかし、別の記事で「今、なぜDXに取り組まなければならないか?」で記載したとおり、様々な課題が噴出し、そうはいきません。
最近DXという言葉がバズワードになっています。 DXに乗り遅れると、今後生き残れないと言われる経営者の方も最近多いと感じています。 それでは、なぜ今DXを最優先で散り組まなければならないか、以下に述べたいと思います。 結論[…]
繰り返しになりますが、顧客市場や競争市場など市場自体がデジタル化へ猛烈な勢いで進歩しているなかで、お客様との関係性を築き、持続的に売上を伸ばしていくためには、企業自体もDXという取り組みのもとで、自社を変革していかざるを得ないのです。
DXへの取り組みの方向性
DXの本質の章で、企業における「マーケティングを完成に導く最も有効な手段」であり、顧客の問題を発見し、解決することに効率的に全力で取り組める企業風土、経営戦略及び目標設定、組織、人、マネジメント、業務プロセスそしてそれらを支える情報システムを迅速に作り上げていくことこそが、真のデジタル・トランスフォーメーション(DX)であることを述べました。
上記のように、企業は「顧客への価値創造プロセス」=「顧客の問題発見&解決プロセス」を実現するビジネスモデルをつくり、それらを最適な形で実行できる組織、業務、システムなどを構築して運用していかなければなりません。
お客様は誰なのか?お客様の課題は何?それはどうしたら解決できるのか?
その課題発見&解決を最も効率的に行い、お客様満足度を勝ち取っていくためのオペレーションを行わなければなりません。
DXの取り組み方針
DXは単なる情報システム再構築やIT化の取り組みではありません。
デジタル革命の市場環境の中、既存のビジネスモデルを再構築または全く新規のビジネスモデルを創出していくことが求められます。
また現状のIT資産も老朽化、複雑化、ブラックボックス化して、手が付けられない会社も多いことでしょう。
更には、システム構築という話になると、莫大な予算と時間、そして開発リスクといった様々な課題が想定されます。
DXは一刻も早く取り組まなければならないと頭ではわかっていても、着手に躊躇されている経営者の方も多いと予想します。
そのような経営者や情報システム部の方に、以下の指針を提案したいと思います。
- DXへの取り組みは、いきなりIT基盤再構築といった大規模システム開発を行うのではなく、スモールスタート(低予算)ではじめる
- DXの検討は、戦略から業務、マネジメント、人・組織まで新しいビジネスモデルを実現するためのIT基盤となるような要件検討をしっかりやる
- 既にマーケットにある多種多様なDXソリューションの活用をまず検討し、短納期、低開発リスク、低コストでの解決を目指す
- 既存IT資産についても、今後のDX推進を念頭に、クラウドをベースの戦略的な情報システム構想を策定する
DX推進アプローチ
現状分析及びDX設計
現状のビジネスの検証を行い、デジタル革命による顕在的または潜在的(今後予想される)市場の変化を察知し、自社へのインパクトを検証する必要があります。
外部環境分析
ここでは顧客分析、競合分析、マクロ環境分析、そして新技術の自社におけるDXへの適用検討(調査)を行います。
顧客分析は、少なくとも新規(潜在)顧客と既存顧客に分けて分析する必要があります。
新規顧客については、顧客(消費者)の行動の変化やZ世代※のようなデジタル革命の中心となっている世代の消費行動やトレンドについて留意して調査・検討する必要があります。
また彼らのニーズや課題がどこにあるのかということを発見していくことは極めて重要です。
競合分析は、自社が属する市場において、既存プレイヤーの分析とともに、新規プレイヤーの分析を行います。
特にデジタル技術を活用して、参入している、または今後参入が予想される競合企業のビジネスモデルを含めた調査・分析を行うことが重要です。
例として、シェアリングエコノミー関連のDX企業が次々と新たなるビジネス展開を行っていることなどは、非常にわかりやすい例ではあります。
仮にまだ自社業界に、DX新規参入企業が見当たらない場合でも、自社が最先端のデジタル技術を活用して、新たなるビジネスを作れないかといった検討を行ってみましょう。
それにより競合企業の参入可能性を予想することも可能です。
マクロ環境分析は、自社を取り巻くマクロの環境要因に注目し、DX推進への影響を検討します。
ちなみに有名なフレームワークにPEST分析(Politics、Economy、Society、Technologyの頭文字を合成したもの)といった自社のおかれている事業環境における外部環境を分析するフレームワークがあります。
新技術適用検討は、クラウド、IoT、AI、モバイル、5Gなど最先端のデジタル技術を活用して、自社ビジネスに活用できないか検討することです。
ちなみに、以下デジタル技術の用語説明をします。
クラウド
今世界的に起こっているデジタル革命は、身の回りのさまざまなモノやプロセスがデータ化され、アナログでは不可能だった最適化や効率化を次々と実現しています。
このようにデジタル化のすべてのベースとなるのはデータです。
データは自社内だけでなく、WEB、スマホなどや後述するIoTなどインターネットにつながったセンサーなどから集めるケースもあるかもしれません。
今後更にデジタル化が進んでいけば、映画の「マトリックス」のようなデジタルツイン※と呼ばれる世界が現実なものになるかもしれません。
これらのデータをすべてオンプレミス型のシステムで収集するのは不可能で、クラウドサービスの使用が前提となります。
※デジタルツイン(DigitalTwin)とは、現実の世界から収集した様々なデータを、まるで双子であるかのように、コンピュータ上で再現する技術のことです。これら収集した膨大なデータを元に、AIを活用することにより、限りなく現実に近い物理的なシミュレーションが可能となり、その結果を現実世界での活動に活かすことを可能にします。
IoT
IoTとは、Internet of thingsの略で、Internet of everythingとも言われます。
その名の通り、あらゆるものがインターネットにつながり、全てがデータ化されます。
センサー技術の進化で、低コストであらゆるもののデータを取得することができるようになったのも大きな理由です。
それらデータはクラウドに蓄積され、AIにより分析、活用されます。
AI
AIとは「Artificial Intelligence」の略です。
デジタル革命の中核となるデジタル技術です。
人工知能と呼ばれ、「機械学習」「ニューラルネットワーク」「ディープラーニング」と呼ばれる技術が活用されています。
IoTなどによりクラウドに膨大なデータが蓄積されていたとしても、それらのデータを活用しなければ何の意味もありません。
それらの膨大なデータを分析し、顧客の理解や業務の効率化などに活かすためにAIを利用します。
既に様々なシーンでこのAIが利用されています。
2021年現在においては、まだAI技術者といったスペシャリストが活躍する少しハードルが高い技術ではありますが、
既にマイクロソフトAzureなど通常のサービスとしてAIを一般のビジネスユースとして活用できるサービスも徐々に広がってきています。
既に普及期に入りつつあり、今後AI自らがデータを学習し、自律的に答えを導き出すディープラーニングなどが発達することで、AIの応用範囲はますます広がっていくことが予想されます。
モバイル
デジタル革命の主役として忘れてはならないものの一つとして、スマートフォンなどモバイルがあげられます。
スマートフォンは、我々消費者の行動を大きく変えました。
大半のことが手のひらに乗ったスマートフォンで事足ります。
SNSの普及によるコミュニケーション形態の変容や口コミ、そしてシェアリングエコノミーの普及などに大きく貢献しています。
今では個人データのほとんどはスマートホンからのものです。
5G
既存の4Gに比べて、通信速度は20倍、同時接続機器数は10倍、遅延速度は10分の1になります。
これで劇的にリアルタイムな情報連携が可能になります。
つまり既存の4Gネットワークと比較して、「高速性」「低遅延」「多端末接続」が劇的に向上します。
既に記載の「クラウド」「IoT」「AI」「モバイル」は、当然ネットワーク基盤上で稼働します。
5Gの普及は、更に消費者の行動変容を促進し、DXを推進するテクノロジーであることは間違いありません。
内部環境分析
ここでは、自社現行ビジネスモデルの検証と現行システムの検証(課題抽出)を行います。
自社現行ビジネスモデル検証とは、
- 財務分析を行い、財務分析から導出されるビジネス上の課題抽出し、
- ビジネス上の課題を詳細に調査・分析を行い
- 現状立案されている成長戦略及び効率化戦略など経営計画の実現可能性の再確認を行うとともに、DXによる影響を検討します
現行システムの検証とは、
- 現行IT投資計画及び実施状況の確認。特にシステムの予算に占める維持・保守費用の額とその原因について
- 現行システムの老朽化、複雑化、ブラックボックス化して、DX推進の大きな障壁になっていないかどうかの検証
- 技術的負債(Technical Debt)の情報システムについての確認、
つまりメインフレームの温存や中途半端なオープン化やオンプレの単純なクラウド化など中途半端なIT化が行われ、非効率、複雑な技術的負債を抱えた情報システムとなっていないか、結果的にこれらの保守費用が高くついていないかを確認・検証します。
DX推進施策を策定(場合により新ビジネスモデル含む)
外部環境分析及び内部環境分析を踏まえ、自社として検討可能なDX推進の施策案を作成します。
この後のタスクでその実現可能性及び課題、解決策を検討することなります。
DX実現に向けた課題及び解決策
DX実現に向けた課題を抽出するために、戦略、業務プロセス、マネジメント、人・組織、そしてIT(情報システム)の5つの視点で漏れなくダブりなく検証して行きたいと思います。
以下をこれらの検証を進める上での留意点を記載したいと思います。
経営戦略の視点
DXは企業価値を向上させるものでなくてはなりません。
企業価値向上とは、わかりやすい言い方をすれば上場企業では時価総額の増加かもしれませんが、経営指標で表すと自己資本当期純利益率(ROE)や投下資本利益率(ROIC)の増加を表すことが一般的です。
これらROEやROICを増加させるためには、本来、成長性、収益性、健全性を向上させる視点でDXに取り組まなければなりません。
企業価値向上を実現するための経営分析指標から立案する詳細な経営戦略及び経営計画の立て方については、別記事に譲るとして、
今回は収益性の向上を主要テーマとして、以下施策の方向性について記載したいと思います。
成長戦略
成長戦略とは財務的には売上高増加や経常利益増加など収益向上を指します。
持続的に収益向上を実現できるための成長戦略が必要です。
そのためには策定したDX推進施策が、以下の視点で検証を行い、問題点及び解決策を立案しなければなりません。
- 顧客の課題を発見、解決できるものであること
- 既存顧客のみならず、新しい顧客を取り込めるものであること
- 新技術を活用し、顧客課題を今まで以上に解決できるビジネスモデルとなっていること
- 新規参入のデジタルディスラプションに対抗できる、または自社がデジタルディスラプションんになり得るビジネスモデルとなっていること
- 収益性向上が見込めるものであること
今まで何度も記載しているように、商売の基本は顧客の課題解決です。
お客様の悩みを探し、または悩みのある顧客を探し、その悩みを解消するビジネスを作っていくというのが成長戦略の唯一の方向性となると考えています。
効率化戦略
お客様の課題を発見し、解決することを最も効率的に、ローコストで提供するための戦略です。
お客様に提供するサービスプロセスにおいて、先進的なIT技術を利用して、大幅な業務効率化を実現できないか、または大きく資産効率を向上できないか検討します。
つまり生産性(労働生産性や設備投資生産性など)をDXにより大幅に上げられないかを検討していきます。
業績評価体系の整備
いくらDX推進に最適な戦略が立案できても、ちゃんと実行できなければ意味がありません。
特に従業員のモチベーション、動機づけは施策実行には非常に重要です。
また実際に施策を動かしているなかで、経営層やマネジャーは遅滞なくモニタリングして、PDCAを廻していく必要があります。
そのためには、業績評価体系の整備は欠かせません。
具体的には、以下の3点は外せない留意事項となります。
- 自社業界におけるKey Success Factor(KSF)が明確であること
- KSFを充足した自社の目標設定ができていること
- 会社全体から事業部や部門、課、個人などへ企業目標を実現し、モニタリングできる指標(KPI:Key Performance Indicater)が設定できていること
経営管理基盤の整備
業績評価体系の整備とも関連しますが、企業目標を実現するために、タイムリーに本社及び経営層、そして現場マネジメントが実態を把握できる経営管理基盤(主に情報システム)は整備しておく必要があります。
所謂PDCAを廻して、組織目標を達成し、より競争力のある組織になっていくことは非常に重要ではありますが、この経営管理基盤が脆弱であると、極めてマネジメントに関する生産性が落ち、タイムリーなマネジメントを阻害する要因になります。
業務プロセスの視点
DXの実行有無に関わらず、現行における業務プロセス上の課題(非効率)を洗い出し、原因を特定することは大切です。
決められたDX推進施策、または新ビジネスモデルを実現する上での課題及び解決策を洗い出し、対策を検討しなければなりません。
当然、DXの新技術を適用して、大幅に業務を効率化することは必須ですが、そうなると大きな業務プロセスの変化となり、仕事のやり方、ヒトの配置、マニュアルや管理システムの見直しなど多くの検討項目がでてくることが予想されます。
マネジメントの視点
良い戦略を立て、良い計画を立てても、うまく実行し、持続的に改善していく組織でないと、良い結果につながりません。
ここでマネジメントの視点と記載しておりますが、これは世間で言うところのPDCAがちゃんと廻っているかということを言っています。
PDCAには様々な定義や作法があると思いますが、ここでは以下のように定義します。
マネジメントとは
組織(個人)の達成すべき目標を設定し、その達成に向けた活動を適切に行い、成果を測定・評価しながら、目標達成を実現していく一連のプロセスや、それを実行するための基盤となる仕組みを言っています。
ここでは、PDCA(Plan→Do→Check→Action)を日本風に置き換えて、以下とします。
【目標設定】
- 達成すべき目標を定量、定性的に示し、コミットメント(目標設定への合意および必達の意思表示)を得ること
- 目標は、目標と結果の差異の分析が可能になるように細分化(時系列・要素別)されていること
【計画】
- 計画とは経営資源(人・物・金)をどのように配分し、目標を達成させるか、具体的な行動ベースに落とし込むこと(アクションプラン)
【実行/フォローアップ】
- 実行とは、スケジュール化された計画を実行し、その結果(実施されたアクションおよびその成果)を共有すること
- フォローアップとは、実績と目標の差異を分析し、その改善・差異を埋めるための対策を立案すること
【報告/評価】
- 報告とは、上位管理者へ報告を行うこと (上位管理者が原因・改善策の妥当性をチェックできることが求められる)
- 評価とは、各マネジメントプロセスの妥当性を検証すること
現行において、上記のようなPDCAを廻し、継続的な課題解決及び収益向上を実現できることが大切なのは言うまでもありませんが、
計画の進捗をモニタリングするためにはKPI(Key Performance Indicator)がかかせません。
KPIは、日本語では「重要経営指標」「重要業績指標」と呼ばれ、企業目標を実現するために業務レベルまで落とし込まれる指標のことです。
最終的には、業務のモニタリングから業績評価指標としても活用できることから、マネジメントするために必須の経営管理指標といえます。
このKPI及び業績評価指標を遅滞なく、予防的にモニタリングし、フィードバックできる運用がなされることが重要ですし、そのためには組織全体として、タイムリーにモニタリングできる経営管理基盤を保有することも必要となってきます。
人・組織の視点
人関連
人事関連では、施策を実行していくにしても、なんといっても大半は人にかかってきます。
以下に従業員などスタッフを動機づけ、施策を円滑に実行していくことが大切なことは言うまでもありません。
前述した
業績評価体系は、人事評価・報酬制度とある程度連携していることが望ましいです。
そもそも実行的な人事制度がないという会社も非常に多いとは思いますが、より踏み込んで、企業目標を達成するためのKPIと連動して、動機づける仕組みがあると非常に効果的です。
採用・スキル評価・キャリアプランなど人材資産向上に向けた人材マネジメントが構築・運用されることが望ましいです。
上記の人事評価・報酬制度に関連してきますが、従業員の定着化のためにも公平な評価と個々のキャリアプランの提示は非常に効果的です。
またデジタル革命によるビジネスモデルの変化や仕事のやり方の変化に対応していくための、教育やキャリアプランの変更も必要になってきます。
会社へのロイヤリティが高い従業員が多ければ多いほど、より良い会社になることは容易に想像できます。
DXの進展により、テクノロジーについていけない従業員も多くでてくるでしょう。
またZ世代など新しい多様な価値観を持った従業員の割合も、今後更に多くなってきます。
より人材を活用していくために、従業員の声を定期的に聞く仕組みがあっても良いのかもしれません。
従業員満足度評価など定量的に評価し、会社としての環境を改善していくことも施策の一つとして考えられます。
ちなみに従業員満足度調査も、非常に安価に簡単にできる時代になりました。
試してみる価値はあると思います。
労働生産性に着目
人の視点で最初に定量的に把握しておいた方が良い経営指標として、労働生産性について、最後に追記致します。
労働生産性とは、会社が生み出した付加価値額(ここでは付加価値額=売上高ー外部購入価格(商品仕入高、原材料費、外注加工費、運賃等)とします。中小企業庁方式)を従業員数で割ることにより、算出できます。
これは言い換えれば、従業員1人あたり会社に貢献した付加価値になります。
この数値が高いほど、従業員がより多くの付加価値を生み出していると判断できますし、従業員の給与よりどれだけ多くの労働生産性があるかにより、人の生産性についての評価が定量的にできます。
ちなみに、この労働生産性は、高い、低いということもありますが、むしろ時の推移、つまり労働生産性の上昇の推移と従業員の給与額増分の推移の比較などにも活用することにより、人事政策における有用な情報となります。
組織関連
組織の壁
人はグループをつくると、どうしもムラをつくり、そこに壁ができ、最初は効率的だと思って作っても、月日とともに無駄が増え、非効率なものになりがちです。
またよくある事例として、個別最適と全体最適の話があります。
会社としては、当然全体最適を追求したいのですが、どうしても事業部や部などユニット毎の個別最適が追求され、会社全体としてうまくいかない(非効率)といった事例です。
こういった組織の壁と言われる非効率な組織形態になていることは多々あります。
会社を全体最適化する仕組みが構築する施策をまず考えてみることが大切です。
DX移行へのITの視点
別の記事で「今、なぜDXに取り組まなければならないか?」で記載しましたが、DXを推進する上で、まず現状の情報システムの問題点が大きく立ちはだかるケースは多いことが想定されます。
最近DXという言葉がバズワードになっています。 DXに乗り遅れると、今後生き残れないと言われる経営者の方も最近多いと感じています。 それでは、なぜ今DXを最優先で散り組まなければならないか、以下に述べたいと思います。 結論[…]
そのうえで、
DX推進のための新技術を取り込む上での情報システム上の課題はクリアする必要があります。
ここで大切なことは、既に活用可能な類似のDXソリューションがある場合は、それを活用できないかまず検討することを推奨致します。
またそうでないときは、DX推進施策と現状IT基盤とのFit/Gap分析を自社または必要に応じて外部人材を活用して行い、整理していくことが必要です。
経営管理及び業務を効率化するためのIT基盤あるか
マネジメントのところでも記載しましたが、業績をタイムリーにモニタリングするための経営管理基盤がかかせません。
DXを推進するための人材はいるか
DXを推進できる人材がいないと、中堅企業や中小企業でよくお聞きします。
IT的なこと以前にビジネス的なこともです。
このハードルは、その解決策の一つとして、ソリューションを探してみるということを提案します。
自社のやりたいDXに近い先進事例が、既に数多く存在します。
それらには、既に提供しているDXソリューションがある場合が多いです。
繰り返しになりますが、
DXの施策は以下を留意して取り組まれることを推奨致します。
- DXへの取り組みは、いきなりIT基盤再構築といった大規模システム開発を行うのではなく、スモールスタート(低予算)ではじめる
- DXの検討は、戦略から業務、マネジメント、人・組織まで新しいビジネスモデルを実現するためのIT基盤となるような要件検討をしっかりやる
- 既にマーケットにある多種多様なDXソリューションの活用をまず検討し、短納期、低開発リスク、低コストでの解決を目指す
- 既存IT資産についても、今後のDX推進を念頭に、クラウドをベースの戦略的な情報システム構想を策定する
DXの基盤構築
最後に簡単ですが、実際のDX基盤構築のざっくりした流れを以下に記載致します。
- 情報システム構想
- 開発アプローチ及びスケジュール策定
- ソリューション選定
- 要件定義&設計
- DX推進パートナー選定
- 開発
- 導入
- 教育
まとめ
この記事では「DX推進アプローチ」として、まずDXの本質を述べ、DXを取り組む上での留意事項、そして自社の既存ビジネスの現状分析及びデジタル技術の急激な進化の影響を鑑みた、DX推進施策を策定していく流れ及びアプローチを紹介致しました。
その上で、後半では、策定されたDX推進施策をいかに実現していくのか?実現していくうえでの課題及び解決策を検討し、DX施策を実行していく流れをご紹介しました。
DXは割けられない時代の潮流なのかもしれません。
しかし、闇雲に取り組むのではなく、デジタル化の流れの中で、いかに効率的に顧客の課題を解決し、企業価値を向上させていくことができるか?
そしてそのための戦略を綿密にたてて、取り組むことができるかにかかっていると思います。